村瀬彰吾がつづる新選組話題を含む日記&エッセイ。

5月21日、イントラネットで沖田総司のお話をしますよ

5月21日、イントラネットで、沖田総司のお話をしますよ。
―――日野市中央図書館と市ヶ谷試衛館付近で―――

今度の日曜日に、日野宿本陣文書検討会からの依頼で、沖田総司についてお話しすることになっている。
この企画は面白いもので、僕が日野市の中央図書館にいて、あさくらゆうさんが市ヶ谷の試衛館近くにいて、お互いにパソコンのディスプレイを見ながら対談するというものらしい。
これをイントラネットというのだそうだ。
そのネットワークに参加しておけば、誰でもが自分の端末からその画面を見れるのだが、まだ試験的なものらしく、今回は、その現場にいないと見られないということだ。確かに、これが実用化されれば、会社などでの社長の訓示などは、全国でリアルタイムで聞けることになる。
でも、既に普及しているのかなあ。
このあたりの知識は、僕は、トンとダメだ。

ともかく、この21日の日曜日にはそれをやるので、改めて、沖田総司について調べ始めた。だから、西郷さんは一時中断だ。
取りあえず、自分の書いた作品、『人間土方歳三』でどう書いたのかを復習した。
書いたものと違うことを言っちゃあ、無責任てことになるからだ。
だが、無責任なことを言うようだが、あの本は小説として書いた。
だから、沖田君のことについては、断定的な言い方をしているのだが、実は、確証があって書いたものではない。
『かなり信憑性のある推測』によって書いた。
例えば、井上泰助が、総司の姉さんのおミツさんあてに出したと思われる手紙の下書きだが、(現存していて井上資料館に展示されているが)僕の記述の基本は、内容的にはあれがすべて原資料になっている。
あれには、井上本家・分家と沖田家、そして宮原家のつながりや経緯のことが書かれてあるが、出している相手がおミツさんだけに、嘘や記憶違いはありえないと確信しているからである。
あの頃の手紙とか記述には、違っていることがかなり多いので気をつけなければいけないのだが、井上本家の泰助が沖田家の長女のミツさんに出鱈目を言って、何の意味があろうか。
その上で、あの本を書いたから、結構確信があるのだが、今回復習した。すると、改めて、沖田家に起こったことは不思議なことが多くて、謎だらけだ。
一例を挙げれば、ミツさんの素性だ。近藤周助の長女という記述もある。
これまで知らなかった人は、「ええっ、?」となるでしょうね。
日野に残されている戸籍には、そうなっている。
そしてまた、沖田林太郎は総司の実の兄という記述もある。そして、以前から言われていることだが、総司の父は誰なのか。沖田勝次郎で間違いはないだろうが、井上林太郎元常の説もある。
沖田家の菩提寺、麻布の専称寺の過去帳には、総司は林太郎二男となっているからだ。とにかく、わからないことが多い。

そんな中、子母澤寛先生の新選組3部作を最近、読み返してみた。
以前読んではいたのだが、改めて、子母澤寛さんにこんな記述があったのかと、しばし、考えさせられる場面が出てきた。

3部作とは、『新選組始末記』『新選組異聞』『新選組物語』だが、今僕の手元にあるのは『物語』で、中公文庫版である。
沖田総司の例の、千駄ヶ谷の植木屋の離れで闘病生活を送っていた、慶応4年2月の頃の話だ。
黒い猫のことを、もう一回調べたかった。
すると、まったく違う“ある”ことに気がついた。それは、225ページの後半のことで、近藤勇が沖田のいる植木屋に見舞った後、実に文久3年以来何年ぶりかで廿騎町に戻り、妻のつねさんと一緒に床に入った時の記述だ。

 「お常、俺は今夜こそ、本当に安心してぐっすりと眠れるのだ。上洛この方、俺は一夜といえども本当に心を許し、身を休めて眠ることは出来なかったのだ。俺は、俺を守ってくれている人々にさえ安心することは出来なかった。血を分けた弟よりも親しい土方にさえ油断はならなかった。まったく、自分の刃が、何時自分に向かってくるか知れぬ危険の中に身を晒してきたのだ。今夜こそしみじみと、自分の家の嬉しさを知った。―――お常、俺は、やはりお前の夫として、貧乏道場の先生で江戸で粥を食って暮らしていた方が、仕合せであったような気がするんだ。天下、名を為して何になるものぞ、近藤は平凡な一個の夫、一個の父にすぎんのではないか」
  まだ雨の音がしている。
  それに交じって、お常の忍び泣く声がしている。お常の涙は、七年の間思いに余ったうれし泣きの声であった。

 子母澤寛先生は、物語として書いているのだからどうかいても自由だが、上のアンダーラインを引いたところだが、先生は小説とはいえ、あのように書いているということは、そう考えていらしたのでは、という推測である。
 先生は、この頃の近藤は既に死を覚悟しているという前提であるようだが、(この思いは僕も一緒なのだが)まさか土方に対してこのように近藤は京都時代もずっと思っていたのだろうかと、改めて考えさせられた。
 先生は、新選組関係の生き残りの方々と直接お会いになって取材し、生の声を随分と聞いた上で、お書きになっておられるし、だからずっと新選組のバイブルとして親しまれてきているのだが、今、気がついてみると、意外な記述もあったのだ。

 僕は、自分がものを書いてしまってからというものは、どういうわけか読む側より書く側で様々な文章を読んでしまう性癖がついてしまった。
だから、問題の記述でも、スピードを上げて読んでいればそう気にはならなかったのかもしれないが、書く側の子母澤寛さんの気持ちで読むからひっかかるのだ。
 よく、思い切ってこんな度胸のいることが書けたなあ、というのが実感なのだ。先生は、この二人の関係をどうみていらしたのか、以前より関心が深くなってしまった。

 ただ、それだけのことなのだが、でも、結構大切なことなので、今皆様に紹介させていただいた。
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コメント
講演ありがとうございました。
村瀬さま、特別講演誠にありがとうございました。初のweb会議でしたので心配しましたが、音声が時々途切れたりした位でまずまずうまく開催できました。

あさくらさんとの対談もスムースでこれからが楽しみです。 距離は超越しますので全国新選組の史跡にも拠点を設けたいと考えています。
緊張しまくりです。ゆうちゃんへ。
沖田総司については、家族や育ちについて、随分と研究したので、僕なりにまとまっているのですが、(正しいかどうかは、別)ここへ来て再びいろいろな人が考察を深めていらっしゃる。
例えば、歴史読本の菊池さんなどをはじめとして。

様々な主張が成り立ってきました。
いよいよ、面白くなってきましたね。
これでいいのでしょう。
一回は、歴史的に、こういうことが必要ですね。

今回、日野宿本陣文書研究会は、いい企画してくれました。
明日は、幼少期から青年期にかけての総司について、語りましょうよ。お願いします。
2006/05/20(土) 18:04 | URL | 村瀬彰吾 #VvKxtd/k[ コメントの編集]
よろしく
 村瀬さま、明日はよろしくお願いいたします。
 講演依頼の話がある前に、私が講演することになっていたのには驚きましたが、村瀬さまがメインなら安心です。
 若輩者ですが、頑張ります(笑)
 大論はおまかせしますので、私は若干の補足程度で。
 明日はともあれ、画期的な事業ですので成功期待しております。
 
2006/05/20(土) 12:23 | URL | ゆぅちゃん #fZQeSxjk[ コメントの編集]
沖田総司のすべて!!
村瀬さま、よろしくお願いいたします。
5月21日(日) 新選組業界?初の試みでweb合同公開例会を開催いたします。

特別記念講演として「沖田総司のすべて」を実施いたします。
今回は試験的に2拠点を結びます。見学も出来ますのでご参加下さい。

市谷柳町試衛館ー日野宿本陣文書検討会のweb合同公開例会です。

当日はweb会議システム(イントラネット)を体感できます。

■ 日野宿の例会場は日野市豊田中央図書館2階
JR豊田駅南口徒歩5分(日野)→(豊田)→(八王子)
レファレンシャル室隣の集会室で公開例会を開催します。

■市谷柳町試衛館の例会場は門人の社屋での開催となります(詳細準備中)

第一部 13:00~14:30 佐藤彦五郎日記を読む第7回
第ニ部 14:30~16:30 沖田総司のすべて講演会

日野宿講師       村瀬彰吾氏
市谷柳町試衛館講師 あさくらゆう氏

今回はTV会議システムの実験も兼ねています。今回は2拠点での実験ですが
全国20拠点への展開そして最大1000拠点までシステムは対応しています。
日野宿文書検討会個人会員も優先受付中です。
特に遠隔地から参加される方にはお薦めです。
同じ時間を共有しながら、相互にコミニケーションが実現できるシステムです。


回線 光回線、ADSL CATV
対応windowsPC(XP)CPU1Gz以上 メモリー500MB推奨
閲覧参加にはソフトウエア―(有償、ID、パスワード)が必要です。
月間使用料 2000円/月 

http://www.liveon.ne.jp/

不明な点は鈴木まで suzutoo@nifty.comまでお願いいたします。

■只今例会場の無線LANを調整しています。回線の都合により例会場を
変更する可能性もあります。参加希望の方には変更ある場合はご連絡いたします。

TEL 042-581-0111 携帯 090-4724-9869

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村瀬執筆 時代小説
プロフィール

村瀬彰吾

  • Author:村瀬彰吾
  • 2004年大河ドラマ「新選組!」の決定以来、新選組特命主幹、日野市立新選組のふるさと歴史館館長を経て芸術文化担当として歴史に触れる毎日の生活を送っている村瀬彰吾のブログへようこそ!
    日野市在住。2006年に小説「人間 土方歳三」を出版しました。小説の詳しい情報や通販はH Pに。
    サイトに関してのお問い合わせ(動作不具合など)は管理人までお願いします。
    村瀬へのメールはこちら






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