村瀬彰吾がつづる新選組話題を含む日記&エッセイ。

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イタリア紀行――5

歴史と伝統、驚愕の街フィレンツェ。本物とレプリカ。

とにかくこの旅、朝早く起こされる。
仕方がない。
イタリアの主要都市、世界中から観光客が見学に訪れるわけだから、朝早くから美術館、博物館、教会などに押し寄せるのだ。
イタリアに来て5日目の朝は、待望のフィレンツェだ。
朝一番で、町の中心を流れるアルノ川にかかるサン・ニッコロ橋を渡ってミケランジェロ広場に連れて行ってくれた。
ここは、フィレンツェの街が一望できる丘になっていて、朝もやが明けて快晴になった好天気の中、この街の美しさが眼に飛び込んできた。
街の中心にサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドゥオモが聳え立っている。フィレンツェの象徴だ。この建物より高いものの建設は中止されているという。
うん、わかる。
ミケランジェロ広場からの眺望

フィレンツエの大聖堂

次に行ったのは、シニョーリア広場である。
イタリアというところ、最初の日のミラノから始まって、どこの都市に行っても辻辻に広場というものがよく設置されている。その中でも、このシニョーリアという広場は特に美しいし、広い。
フィレンツエノ広場

日本でよく目にする彫刻なぞが隅に並んでいる。でも、ダビデの像はレプリカだ。
広場にあるダビデ像

ここでウェディング姿の娘さんが目に入った。よくみると東洋人の顔つきだ。隣りに日本の着物を着ているご婦人がいた。だから、日本人だとわかったのだが、近づいて、まさか花嫁さんには話しかけられないので、彼女の母親と思われる和服姿の人に聞いてみた。言うには、大阪から親戚知人一同で結婚式に来ているのだという。
ヘエー、驚いた。
でも、ハワイへ行ったときも見たし、別に、今や驚くことでもないのであろうが、それでもこのフィレンツェに大人数で来るのは大変だ。ちなみに相手はイタリア人だという。
よくみたら、当たり前だが、花嫁の隣にいた。気がつかなかったのは、歳の差が離れているからなのだ。他人の結婚年齢なぞ余計なお世話だといわれそうだが、男はどう見ても、半分白髪で50歳ぐらいだ。娘さんは多分、30にはなっていない。
広場での結婚式

日本の女性、最近は韓流ばかりでなく、イタ流もか。

この広場に人が多いのは、頷ける。
広場を囲むようにヴェッキオ宮殿、ウフィッツィ美術館、国立美術館などが並んでいる。特に、僕たちが直ちに並んだウフィッツィ美術館は圧巻だ。ここに入るのに普通は早くても1時間は並ばされるといっていた。僕らは予約でもしてあったのか、並ぶ列が違っていて、運よく15分程度で入れたのだが、ガイドが「ペットボトルを持っている人は直ちに捨ててください」という。
えっ、まだ全然飲んでいなのに、かばんの中の飲み物は一切捨てさせられた。これも、テロの予防らしい。中へ入ると、まるで飛行場と同じで、あのボディーチェックの機械を通され、持っている荷物はすべて機械にかけられて中味を調べられた。
結果として、ここの美術品はメチャすごい。だから、あの、厳しいチェックは当たり前だと得心した。
ルネサンス3代画家の名画をはじめ、次から次へと、美術の専門書に出てくる名だたる絵画が連続して、「これでもか」と、怒涛のごとく見せ付けられた。ああゆう作品、一つでも上野の西洋美術館にやってきたら、大変な行列が出来ることだろう。一度、モナリザが来たときに、大行列が連日続いて、パンダと同じくみられるのが一人5秒だか10秒だかだったと聞いたことがあったが、ボッティテェリの「ヴィーナスの誕生」ダ・ヴィンチの「受胎告知」ミケランジェロの「聖家族」など、巨匠の稀有な超大作に次から次へと接して、感覚が麻痺してしまった。だから、最上級の作品を見せられても、感動しなくなってしまう。

僕は正直なところ、絵画や彫刻の超大作を見ても、どこがそんなに優れているのか、判断できる能力を持ち合わせていない。写実的な絵はそれでも少しはわかるが、抽象画なぞにいたってはそれがたとえピカソの作品であっても、その価値がわからない。
それ程に“でくのぼう”だ。
例えば、カラヤンやフルトベングラーの第九の演奏がいいといったって、どれだけその価値のわかる人がいるんだろう。ウィーンフィルやベルリンフィルの演奏が優れているといっても、NHK交響楽団との差がどれほどあってどの程度の人々に理解できるのか。はっきりいって、殆んどの人はわからないのじゃないかな。
ジャズの巨人で、ジョン・コルトレーンという人がいた。僕が学生のころ亡くなったのだが、僕は、涙を流して悔やんだのを覚えている。
彼の優れた演奏は伝説的になっているが、評価されるのは「至上の愛」までで、「コスミック」などという作品は狂騒な音の連続で、晩年の彼の前衛的な音楽は、おそらく殆んどの人には理解できないものであろう。相当なコルトレーンファンでも、あれは嫌いだという人が多い。同世代のジャズの巨匠マイルス・デビスにしても、晩年の作品は評価する人は少ない。
でも、巨匠の作品については、すべからく最高の評価をする癖が、しなければいけないという義務感がわが民族にはあるみたいだ。

今から約20年も前の話になるが、東京の葛飾区のある小学校5年生の一クラスの子供達に好きなこと、やりたいことをやらせることにした。先生も誘導したのか、子供達はジャズをやりたいと言い出した。
そして出来たのが、ジャズのフルバンド『にいにいぜみ』というバンドであった。このバンドが、まさか小学生とは思えないほどの名演奏をするようになった。
僕ら、当時は'80年を少し過ぎた頃だったと記憶するが、自分たちより上手なのに愕然とした。2年ほど前だったか、映画で“スウィング ガールズ“がヒットしていたが、彼女たちは確か高校生だった。片や小学校5年の一学級なのだ。僕の聴くところ、にいにいぜみのレベルのほうがはるかに高かった。
にいにいぜみ楽団は人気になり、カウントベイシー楽団が日本にやってきたとき、新宿の厚生年金会館で公演があったが、その前座で招かれるまでになった。
当時、日野でもジャズ好きが集まるスナックがあって、そこでブラインドテストをしたことがあった。相当のジャズマニアだと自認する人も、本物のカウントベイシーの『APRIL IN PARIS』とにいにいぜみの演奏する同曲を見分けがつかなかったのである。
指導した先生の能力の高さや、ご努力の程は想像を絶するのだが、片や、子供達の未知の物に対する可能性のようなものに驚愕する。指導の方法、もっていき方一つで、こういうレベルにまでいけるのかってことだ。

その時の逸話の一つとして、―――。
トロンボーンという楽器がある。
普通ジャズのフルバンドでは、この楽器を4本使う。あと、トランペットが4本、サックスが5本が基準だ。そのほかにリズムセクション。
トロンボーンは右手でスライドを伸ばしたり縮めたりして音を出すのだが、にいにいぜみ楽団は、子供だからいくら伸ばしても手が短くて、目的の位置に届かない。そこで、紐を右手の指に取り付けて、目標の位置に届かせ、お目当ての音を出す工夫をしたということだ。

カウントベイシー楽団といえば、デューク・エリントン楽団と並んで、世界でも屈指のジャズバンドである。それと類似した演奏をした“にいにいぜみ楽団”。
本物とレプリカとの違い、わからないことが多々ある。絵画でも、彫刻でも、芝居でも映画でも、音楽でも、芸術作品とそうでないもの、どこで線を引くのか、どう評価したらいいのか、正直、僕にはわからない。
きっと、各自の心の中、感性にあるのに違いない。

ルネサンス時代の絵画は、写実的、幻想的、また創造的で、わかりやすいように感じる。でも、原作者の意図となると、解説を聞かないとわからない。ましてや、作品の優劣となると、素人にはなかなかわからないものである。彫刻なぞでも、どれが優れているのか、さっぱりわからない。解説を聞いて、成るほどと思う程度だ。じゃあ、何故、人は最上級のものを求めるのだろう。
おそらく、理解できなくても、よいものに接していると気分がよい、気持ちが洗われる、居心地がよい、何か触発される、人間や生き方について改めて考え直させてくれるとか。
いや、きっといいに違いない、また、いい気分になって帰ってこれるなぞで、足を向けるのではないか。
僕の場合は、どんなジャンルでも、出きるだけよいものに接していたいという欲求からである。『良品』といわれるものから、常に何か触発されたいのである。これは、食べ物からあらゆる道具類、素敵な女性、いい男も、すべてのものに対してである。

このフィレンツェというところ、どこへ行っても世界遺産みたいなところばかりで、驚きの連続であった。
街が美術館、博物館なのである。
町全体が、遺跡

(ウフィッツィ美術館から見たヴェッキオ橋)

今回、僕が廻った都市に共通して言えることは、街中に新しい建築物のいわゆる”工事中”がなかったことである。いや、工事中はたくさんあるのだが、すべてが昔の建物の修理や改築程度なのだ。
だから、フィレンツェの街中で一流ブランドの店が立ち並んでいても、その建物を見ると14~15世紀のものだったりするのである。日本じゃとても考えられないことである。
石やレンガの建築物だから、内装を変えるだけで、現在でも平気に使うことが出来のであろうか。木造では無理なのか。日本で言えば、金閣寺や銀閣寺が建設された時代のものである。フィレンツェの建築物と現代のブランドのお店の雰囲気は実によくマッチングしていて、融合している。まるで、当たり前のようにそこに存在している。

『文化』というものを、改めて考えさせられた。
昔のものをどんどん壊して、新しい技術を投入して、あの都庁のような無機質な建物を建設して行くのが文化的なのか、それともフィレンツェ式が文化なのか。
僕は、後者に好感を持つ。

ところで、フィレンツェでは昼は中華料理だった。
すげえ美味く感じた。日本で食べる美味しい中国料理と同じ味がした。イタリアの美味しいものを食いにきたのに、これはどうしたことだろう。

さんざん夕刻まで散歩した後、朝一番で行ったアルノ川向こうのミケランジェロ広場とは逆の北側の丘の上へ足を伸ばした。ここは、隣町でフィエゾーレという町である。フィレンツェの街からはバスで20分ほどのところだが、終点である。そこから急坂を登ると、頂上付近からの眺めは絶品である。
フィエゾーレの丘の上から眺めるトスカーナ地方

(フィエゾーレの丘の上から眺めるトスカーナ地方)

ここからはフィレンツェの町が一望できるし、トスカーナ地方という地形が手に取るように拝見することが出来る。ここに、あの巨匠たちが生まれ育ったのかと改めて心に焼き付けたが、見ているうち、なんとなくどこかに似ているような気がしてきた。
京都の遠景である。
東山の丘の上の方に、維新の道という急坂ができていて(昔からあるが、その名は最近つけた)、その坂の突き当たりに坂本竜馬の墓がある。もっと歩くと維新の英霊がたくさんそこに眠っているのだが、その辺りから京都の町を眺めると一望できる。ここに霊山護国神社というのがあるが、維新の誕生に貢献した英霊が1,043柱祭られているという。
維新の功労者だから、賊軍の徳川勢は原則いないのだが、面白いことに、幕府側では、ここに新選組の新見錦の霊だけが弔われている。
どうしてだかよくわからない。
だから、僕の本では、新見を攘夷の運動家にしてある。そのために土方に抹殺されたのだと。
その話はいいとして、京都の町並みである。
あそこは、南以外は山で囲まれている。トスカーナとはその規模が違いすぎて比較にはならないが、東山から眺める風景と、このフィエゾーレという街の丘の上からの眺めは共通点があるように思えた。それは、両者とも歴史的建造物や貴重な遺産が保存されているからか。
この二つの町、なんと姉妹都市になっていた。
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コメント
ごっちゃんさん、そんな思い出がーーー
『眺めのいい部屋』ですか、知りませんでした。
いつごろの映画なんでしょう。今から何年前?ごっちゃンがまだ独身の頃かな。
誰が、主演ですか。
イタリアの映画なんでしょうね、きっと。
音楽もいいのかなあ。

フィレンツエという街、何か、違った空間に飛び込んだように思える。あそこだけ、特別。
だから、行った人たちみんなが虜になってしまう。
なんだか、空気も違うように感じた。澄んでて透き通っているんです、美味しい。
イタリアの、特にあの地方、トスカーナっていうのかな、どんな小さな町でも、雰囲気がありますね。もう一度、ゆっくり行きたい。僕は、イタリア語がダメだから、出来る人に助けを借りて。
貸しビデオ屋にいって、『眺めのいい部屋』探してみます。

村瀬彰吾
2006/10/25(水) 23:28 | URL | 村瀬彰吾 #VvKxtd/k[ コメントの編集]
眺めのいい部屋
若い頃「眺めのいい部屋」という映画を見てからフィレンツェは憧れの街でした。絶対1つでも若いうちに行きたいと思っていました。行ってみて、ローマの喧騒な感じと違って本当にステキで、いい街でした。芸術の風がそこはかとなく感じられて、私にとってはなんか特別な街です。
ベッキオ橋でなんか買わなきゃと思いましたが、すんごく高くてやっと手ごろなものを見つけて買いました。でもせっかくだからちょっとフンパツすればよかったかな?と後で思いました。「眺めのいい部屋」また見たくなりました。
2006/10/25(水) 13:13 | URL | ごっちゃん #JUGsyThY[ コメントの編集]
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村瀬執筆 時代小説
プロフィール

村瀬彰吾

  • Author:村瀬彰吾
  • 2004年大河ドラマ「新選組!」の決定以来、新選組特命主幹、日野市立新選組のふるさと歴史館館長を経て芸術文化担当として歴史に触れる毎日の生活を送っている村瀬彰吾のブログへようこそ!
    日野市在住。2006年に小説「人間 土方歳三」を出版しました。小説の詳しい情報や通販はH Pに。
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