村瀬彰吾がつづる新選組話題を含む日記&エッセイ。

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講演体験 くらしが織りなす地域の美



講演体験 文化政策セミナー08 “くらしが織りなす地域の美”

京都大学の中へはじめて入った。
さすが、赤レンガをはじめ伝統を感じさせる建物でキャンパスの中が広々としている。
僕が講演を行った場所は、普通の教室だった。
分科会なので、人数は5~60人程度だったが、土曜日だったので学生さんは少なく、殆んどが大学の先生や研究者たちだった。
それもその筈で、『学会』として参加しているのだから当たり前か。
それに、当然だが京都近辺の人たちが多く、京大をはじめ同支社、立命館、橘、大谷、仏教大学、龍谷大学なぞだ。

僕の持ち時間は少なく、質疑応答を入れても約40分程度で、大して多くは話せなかった。でも、用意していた内容は、早口で何とかこなした。

1 最初は、僕の経験談から入った。
  もう4~5年前になるが、新選組の講演をした後、アル女子大出が僕のところに近づいてきてこう言った。

  「新選組を、卒論のテーマにしようとゼミの先生に相談したんですが、止めとけと断られました」というもので、悲しそうな顔をしていた。

  何故、その先生は、そういったのだろうか。
  答えは簡単で、「新選組なぞ歴史の教科書にも載ってこないつまらない存在」だ、ということだ。それに、現代に至るまで、伝えられてきている多くは『物語』としてであり、歴史の真実としてではないからだ。
  確かに、新選組といえば、様々な作品がテレビや映画、小説や連載物などで楽しまれてきている。その殆んどが、昭和3年に発表された子母沢寛の新選組3部作を原点としている。氏は、新選組の生き残り隊士や屯所にしていた八木家の源之丞など、多くの関係者に直接取材をして書いたものだから、肉声であり、真実味はある。

文久3年の当時、源之丞はまだ確か6歳程度だったと思うが、9月16日に起きた芹沢暗殺事件のときの生々しい証言が残っている。
夜中の12時ごろ、庭先から廊下に上がって障子をそっと開けている人影を母親マサが見ていたというのである。そして、その人影は、どう見てもあの土方歳三さんに違いないと。
事が片付いたあと、着替えて、近藤さんと一緒に現場検証に何食わぬ顔できているのだから、おかしくて仕様がなかったというものだ。
あんな凄惨な殺人現場で、八木家の母親が、「おかしかった」というくらいだから、八木家の人たちも、内心芹澤を処分してほしいという願望があったのかもしれない。僕は、本を書いているとき、そのことを随分と意識し推察して、芹澤暗殺を書いた。
何しろ、八木家の母屋に居座って、女子供がいるにもかかわらず、平気で女たちを連れ込んで酒盛りしたり川の字になって寝ているのだから、子供には良くない。
八木家の人たちの恨みを買う。

子母沢寛は、新選組始末記を小説として書いている。
だから、随分と脚色や史実との不都合がある。それを承知で、後世の人たちは読まないと大きな誤解を生ずる。
昭和38年に発表された司馬遼太郎の『燃えよ剣』も、基本的に子母沢寛の資料をお手本にしているから、間違いや創作をそのまま使用している。
2004年のNHK新選組で、三谷幸喜が書いたのも、子母沢寛をバイブルにしているから同じだ。
一例を挙げると、山南が切腹する直前に前川邸の長屋門の出窓に明里がすがり付いて、最期の別れをする場面があるが、アレは、子母沢寛さんの全くの創作である。明里も架空の遊女だという。でも、後年の人たちは、そう思っていない。史実だと思っている。
でも、新選組血風録の脚本家の結束信二氏の質問に答えて、子母沢寛さん自身がそうおっしゃっておられる。

僕は、それ以前に、山南が何故脱走する必要があったのか、いまだに納得がいっていない。アレは、永倉が後年小樽の新聞記者に語った内容だというが、都合の良い作り話に思えるがーーー。
だって、直ちに沖田が追いかけて大津の宿を突き止めているが、そんな都合よくつかまるものか。二人で一晩寝てから、翌日屯所に帰って沖田自身が介錯したということだが、すべてが首を傾げたくなる。

司馬さんは、確か、「燃えよ剣」の中で河合耆三郎を函館まで行ったことにしているが、彼が慶応2年2月に土方歳三によって死罪にされたことは有名で、壬生寺に墓が今でもきちんとある。それに斎藤一も箱館に行っている。彼は、会津に残っているから、函館に入っていない。それに、司馬さんは斎藤一と斎藤一諾斎とを混同されている節がある。
なんにしても、あの当時、『燃えよ剣』と『竜馬が行く』を同時に書いていたはずだから、仕様がないか。
こんな具合だから、創作が多い。
だから、先程の『卒論』のやり取りになるのである。

これから先は、次回。
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村瀬執筆 時代小説
プロフィール

村瀬彰吾

  • Author:村瀬彰吾
  • 2004年大河ドラマ「新選組!」の決定以来、新選組特命主幹、日野市立新選組のふるさと歴史館館長を経て芸術文化担当として歴史に触れる毎日の生活を送っている村瀬彰吾のブログへようこそ!
    日野市在住。2006年に小説「人間 土方歳三」を出版しました。小説の詳しい情報や通販はH Pに。
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