村瀬彰吾がつづる新選組話題を含む日記&エッセイ。

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ベルリン『第九』体験記-3

同室の宝田さんは今年、後期高齢者に仲間入り。
7日間、同室のベッドで語り合った。


――― ベルリン『第九』体験記-3 ―――


今回のベルリン「第九」は、日本から60人の寄せ集め合唱団で参加した。
たまたま、ドイツ側も60人ほどの人たちで、合計約120人の合唱団で第九を歌ったのである。

IMG_1088.jpg

リハーサルの前の合唱団

日本から行った人たちは、大概が一人の参加で、北は北海道から南は沖縄まで、あるゆるところから参加があった。
だから、殆んどの人が、6月10日の午前7時30分に、成田で初めて顔を合わせた人たちである。

IMG_0937.jpg

初顔合わせーー成田の待ち合わせ室で

僕の同室だった旭川の宝田さんは、今年、後期高齢者の仲間入りをするという。
旭川では、毎年、第九を行なっているといっていた。
オケも合唱団も人数が少ないので、本番にはどうしてもトラを頼むらしいが、近くにはいないので札幌から応援に来てもらうということだ。

この旭川の副会長さんが、たまたま、日野の第九の会長の従兄弟に当たる人で、昨年、日野で行なわれた『第九と名曲アリア』を聴いて感動したということだった。
それをプロデュースしたのが僕なので、ちょっとはいい気分だったが、彼らと交わっているうちに、たちまち反省することになった。

この宝田さんとは、7日間も同室で、隣のベッドで寝た。
朝はお互いに目覚めが早く、4時過ぎには眼が覚めている。
この時期、ベルリンというところはやたら陽が長い。
夜10時ごろまで、明るいのである。
そして、朝4時前には明るくなる。
ろくに、暗い時間がない。

寝不足の中、枕を並べて様々な話を、宝田さんとはした。
旭川といえば、僕らの世代では、絶対に『氷点』である。

陽子という女の子が主人公で、三浦綾子原作のあの悲しい小説は、テレビドラマになり映画になったが、一世を風靡し、圧倒的な人気であった。

『壬生義士伝』もテレビドラマ、映画になったが、残念ながら比較にならないほどのものである。
旭川は、時には、零下30度にも下がる土地であり、冬は雪で閉ざされる。四季の移り変わりが鮮やかで、近くには富良野や美瑛があるから多くを言わなくてもお分かりのように、ロマンチックな場所なのである。

今、あれに匹敵するほどのドラマがあるだろうか。敢えて探すと、NHKの朝ドラでやっていた『おしん』を思い出す。
おしんで小林綾子という女優は世に出た。
氷点では、内藤洋子という女優だった。
やはり、あれ1作で世に出た。
すごい人気だった。
でも、あの人、その後どうしたのかーーー。

宝田さんとは、氷点以外にもたくさんのお話をしたが、旭川近辺で行なわれている『第九』の話に感動した。
旭川周辺の町では、様々な形で「第九」が行なわれているらしい。
旭川商業高校はブラスバンドが優秀な名門校らしいが、そのバンドと合唱団が「第九」を演奏したらしい。

「ヘエ~、ブラスバンド用の譜面があるんですか」

と、聞くと、

「近くの自衛隊から、借りたそうですよ」

ということは、自衛隊も、地域の人たちと一緒に「第九」を演奏しているのかと聞いたら、やはり、そうだという。
そうか、ブラバンでも出来るってことか。

すると、宝田さんは、もっと意外な実例を紹介してくれた。

IMG_0945.jpg

今年後期高齢者になる宝田さん(左端)

宝田さんは言う。

「○○という町では、公民館で第九をやりましたよ」

僕は、実は、町の名前を昨日まで覚えていたのだが、今日になって忘れてしまった。

「これは、寺の和尚さんが自発的に行なっているものですよ。ご自分もどこかの音楽大学を卒業されて、どうしても『第九』をやりたかったらしい」

それは、地域住民と共に行なうもので、オーケストラの人数も少なければ、合唱団も充分でない。

「ヴァイオリンにしても、その他の弦楽器にしても、ろくにそろっていないので、足らないところはシンセサイザーを使って補ったらしいですよ」と、言う。

勿論、合唱団だって、理想的に各パートがバランスよく取れているわけではない。
それでも、第九を演奏してしまうところが、いい。
終わると、皆さん、大きな感動と得るらしい。
一度、見てみたくなった。
機会があったら、行ってみるつもりだ。

成る程、全国各地で、皆さん工夫されて、それぞれの「第九」を行なっているのだ。

そうか、これがもしかして、本来の「フロインデ(友)」であり、「フロイデ(歓び)」なのかもしれない。

僕は、今まで、形にとらわれすぎていた。
よくよく思い出してみれば、日本で最初に「第九」を初演した徳島の板東俘虜収容所では、男ばかりだったし、ろくに楽器だってそろっていたわけではない。

理想的なフルオーケストラで、充分な合唱人数で、名だたるソリストを迎えて、勿論プロの指揮者で仰々しく奏でる。
ぼくは、これこそ、「第九」だと思い込んでいた。
だが、これからは、考え直そう。
自分たちなりの、「第九」を作るってことが大切なんだと。

宝田さんは、「日野さんから、たくさん得る物がありました」と、言ってくれたが、むしろ、僕のほうがたくさん学ばせていただいた。

(続く)

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村瀬執筆 時代小説
プロフィール

村瀬彰吾

  • Author:村瀬彰吾
  • 2004年大河ドラマ「新選組!」の決定以来、新選組特命主幹、日野市立新選組のふるさと歴史館館長を経て芸術文化担当として歴史に触れる毎日の生活を送っている村瀬彰吾のブログへようこそ!
    日野市在住。2006年に小説「人間 土方歳三」を出版しました。小説の詳しい情報や通販はH Pに。
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