村瀬彰吾がつづる新選組話題を含む日記&エッセイ。

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歳三の恋人---2

―――幕末と新選組と市民講座―――

鬼平犯科帳や剣客商売を書いて有名な池波正太郎氏が、ご自身の執筆の裏話をされていたのだが、それをどこかで読んだことがある。
あまりに強烈な印象を僕は受けたので、いまだによく記憶している。

鬼平の本


こんな話だった。
言葉の言い回しは記憶だし、僕の創作も入るので正確とは言えないが、話の内容の大体は合っていると思う。

正太郎氏が細君と母君と3人で、テレビを見ていたときのお話である。
突然、母様が云った。
「土方歳三っているだろう」
正太郎(池波氏)は、
「はあ、それがどうした」
「あの人の恋人は、京都の大きな経師屋の未亡人だったんだって」
正太郎はビクッとして、
「何だって、どうしてそれを知ってるんだ」
「それがさ、若い頃、おとっつぁんに聞いたんだ」
正太郎の母の父だから、祖父に当たる。

祖父は、下総のほうの小さな藩の家老の息子だったらしいが、明治になって幕藩体制が崩壊したから職を失って、錺(かざり)職人になっていたらしい。

「それで、おじいさんは、土方歳三のことをなんと言っていたんだよ」
母は、昔の記憶をたどるようにして、
「それがさあ、……う~んと」
「早く、言え」
「う~む、何でも、土方歳三の馬蹄から聞いたらしいよ」
「ええ、何だその馬蹄ってのは」
「私のおとっつぁんの父親って人は、錺職人になっていたんだが、浅草の田原町に同業の友達がいてね、その人の父親って人が土方さんの口取りをしていたらしいんだよ」

「本当か」、正太郎は俄然興味がわいてきて、
「もっと聞かせてくれ」
母は、正太郎が意外にも身を乗り出してきたので、逆に身を引くようにして、
「話せったって、それだけだよ。その馬蹄さんが、そう言っていたらしいよ」
「何でも良いんだ、もっと聞いたことを聞かせてくれ」
「ダメだ、だって40年も昔のことだし、それだけなんだもの」

たったこれだけのことだったが、池波さんは、この会話がきっかけで、土方歳三を主人公にして「オール読み物」という雑誌に『色』という短編を発表したという。

これが結構な好評を得て、その後、「新選組」に関心を持ち始めていくつかの小説に取り組んだが、中でも永倉新八が気に入って『幕末新選組』という長編を書いたという。

続く。
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村瀬執筆 時代小説
プロフィール

村瀬彰吾

  • Author:村瀬彰吾
  • 2004年大河ドラマ「新選組!」の決定以来、新選組特命主幹、日野市立新選組のふるさと歴史館館長を経て芸術文化担当として歴史に触れる毎日の生活を送っている村瀬彰吾のブログへようこそ!
    日野市在住。2006年に小説「人間 土方歳三」を出版しました。小説の詳しい情報や通販はH Pに。
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