村瀬彰吾がつづる新選組話題を含む日記&エッセイ。

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土方歳三と大久保利通-その2-

土方歳三と大久保利通の比較について、文章が途中になっていた。
NHK大河の続編が決定したので、そちらの方を優先させてしまったのだ。
今回は改めて、歳三と利通の比較を考えてみたい。

前回で、西郷さんと大久保さんの生まれた生家が鹿児島の加治屋町というところで、目と鼻の先であり、明治維新最大の功労者、立役者が何故こんな近所なのか不思議でならないと書いた。
同じような意味合いで、鹿児島の二人ほどではないが、近藤さんと土方さんは調布と日野ではあるが近くである。
沖田総司も井上源三郎も日野の出だ。

でも、こうした現象はあの時代、いくらでも例はある。
特別、取り上げることでもないのかもしれない。
桂小五郎と高杉晋作だって、萩の城下で近所だし、高知の城下にも坂本龍馬を始め、優秀な人材が輩出している。
ただ、近藤と土方は新選組という組織を二人で作り、幕末の京都で未曾有の最強軍事集団を運営していた。
一方、西郷と大久保は組織を作ったわけではないが、二人が協力して徳川幕藩体制をひっくり返して、新しい政府を作り上げた。
その規模、歴史上の価値、意味合いには大分違いはあるものの、この二つのペアに共通するのは、どちらか一方だけではとても実現、成就不可能なことを、うまく二人三脚して、それぞれ魅力的なものを作り上げたということか。
そして、それらは同時期に、京都を核にして活躍していた。

よく、薩摩は新選組を襲って潰そうとしていた、又は乗っ取ろうとしていたという人がいる。
その手先が伊東甲子太郎で、高台寺党だと。

僕は、残念だが、薩摩も長州もそんな小さな事に拘っていなかったと思っている。
新選組なぞ、取るに足らない存在だと思われていた。

「我々の目的は、260年続いた徳川幕藩体制を崩して、外国勢力から日本国を防衛するのだ」と、大目的に向って全神経を集約させていたはずで、目先の小事にとらわれていたとは、到底思えないのだ。
もしそうじゃないとしたら、池田屋襲撃の直後に壬生の屯所は大砲の餌食になっていただろう。

池田屋事変で、長州や土佐の有能な若者が新選組に殺された。その直後は確かに、壬生の屯所を襲撃してリベンジしようという衝動は浪士たちにはあった。
しかし、それは幹部連中に直ちにたしなめられ、「新選組を襲ったとて、それで時代が変わるものでもない。
我々の目的は徳川本体ではないのか」と。

なんだか、新選組の存在の小ささにがっかりする向きもあるだろうが、気にする必要はない。
そのままで新選組は充分魅力的だ。
幕末の京都といえば、西郷や大久保でなくてやっぱ、新選組なのだ。
彼らがいない京都なんて……。
コーヒーはクリームがなくても飲めるが、新選組がいない京都なんて考えられないではないか。

またまた話がそれてしまった。
薩摩藩に島津久光という、藩主忠義の父親がいた。
幕末の頃は、前藩主斉彬(なりあきら)亡き後、実質この人が実権を握っていた。
例え、西郷であろうと大久保であろうと、この人の決断、指図がなければ、薩摩藩として何も出来ないのだ。
大久保は久光というガチガチの公武合体論者を倒幕に変えさせるために、血のにじむような苦労をしたし、命をかけたことは一度や二度ではない。
冷静で沈着な彼ではあったが、勇気は薩摩隼人そのものの人であった。
薩摩藩の若い武士たちほど尊皇攘夷の志旺盛で、血気にはやり、勇気があり、武士道を重んじ、命を粗末にする者もいない。
大久保はこの連中の突出を命を張って抑え、一方、久光に近づいて、倒幕へと実に見事に引っ張っていった。
それは、彼の「一藩勤皇でなければ、浪人の運動では到底事はなりもはん」という強い信念からだった。
この間の、彼の苦渋に満ちたジレンマを想うとき、想像するだに超人間的な強靭な精神力で乗り切ったと考えたい。

西郷は大久保を、こういった。
「石からでも水を搾り取ろうとするお人だ。この強靭な根強さは、自分にはないものだ」と。
幕末の薩摩藩は、倒幕のために藩として一つにまとまる必要があった。内部的にそれを見事にまとめたのが大久保であり、また、それがあったから、西郷が中央で縦横無尽に活躍できた。
二人はお互いに、充分すぎるほど理解しあっていた。
そして、それぞれの持ち場で、最大可能な限りの知恵を発揮し、行動に移した。

大久保利通という人がいなければ、ああゆう維新にはならなかっただろうし、明治期に入ってからも、大久保流で勧められたから、驚くほどの速さで殖産興業、富国強兵策は進み、列強と肩を並べ、侵略されずに独立を保ちえた。
こうした大久保と土方とが、僕の中で妙に絡み合ってしまう。
大久保利通という人、改めてその人となりを眺めてみるとこうなる。

 冷静沈着で着実、計画的な物事の進め方。
 白皙(色白)、端正、物静か、冷徹、着実性、感情に溺れぬ理性。
 簡単に揺れない不動性、勇気、凄まじい決断力、それでいて誠実、潔癖、他人の長所に対する謙虚さ、そして愛情。

これらの特徴は、ほとんどそのまま土方歳三に当てはまるように思えてならない。少なくとも、僕が本を書いたとき、土方の中にこうしたキャラを想定して筆を進めていたように記憶している。

西郷と大久保とは、正反対の性格といっていい。熱と冷、
黒と白の対比か。
全く相反する動き方をするのに、そのくせ二人はお互いに
誰よりも信頼しあい、助け合い、そして相手の欠点を補い
合いながら、同じ目的に向かって進んでいく。

この二人の性格と関係、どこか近藤と土方のコンビと似て
いないか。

西郷さんのことについては、改めて、書いてみたい。
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コメント
香奈さん、お久しぶりです
大久保利通は、明治のというより、日本の大きな偉人とでも言いましょうか。
すごい人ですね。

新選組の敵かもしれませんが、残念ながら、大久保側にしてみれば、新選組なぞ問題にしていなかったでしょうね。
京都で暴れている、うるさいハエぐらいでしょうか。
ファンにはたまらないほど悔しいかもしれませんがーーー。

仕様がありませんね。
片や、日本国の将来、舵取りをどうもって行くかってこと考えていたんですから、次元が違います。

でも、それでも新選組には他にない特異な魅力がありますね。
何といっても、あれほどの戦慄的な集団が幕末の京都にほんとに実在したのですから。

この間の日曜日も、京都の宮川町に行って、置屋で舞妓さんや芸妓さんたちと新選組のお話してきましたが、皆さん、改めて幕末の京都について認識を新たにされていました。

ところで、僕の本では土方歳三の恋人を八千穂という人にしてありますが、本当は君菊という人らしいと伝わっていますね。
その君菊さんは、いま、宮川町の舞妓として実在しているんですよ。
僕は、お話してきましたから。

おっと、
大久保さんのお話でした。
彼は明治11年5月に朝出勤する途中で、石川県の旧士族に襲われたとされていますね。
このとき、大久保の懐には、西郷からの手紙が入っていたといわれています。
前年、大久保は西南の役で西郷を殺してしまいましたが、終生、本当の親友、尊敬の対象は西郷さんだったに違いないのです。
だから、常に、西郷のことを想っていたことは間違いないですね。
2005/08/26(金) 00:17 | URL | 村瀬彰吾 #VvKxtd/k[ コメントの編集]
驚きました。
お久しぶりです。
 大久保公といえば、以前は明治の偉人。
 最近は、新撰組の敵というイメージでしたが、
公武合体論者の堅物を説得し、藩一丸になって倒幕派にもっていくほど骨太で、不動な精神をもってる人とは思いませんでした。 
大河でも、西郷に問われ、即座に妙案をだす頭の良さから、学者肌の人なのかな?って思ってましたが・・。
 それに、大久保公の人なり、ほんと土方さんと重なりますよね♪読みながら驚きました。
もしかしたら、立場が変わっていれば、土方さんが、倒幕、明治の治世をしているのかも??なんて想像しちゃいます。
 冷静な態度と緻密な計画のおかげで、新生日本が占領から逃れられたのなら、案外大政奉還。倒幕も悪くはなかったのかもしれません。
 ただ、新撰組びいきとしては複雑ですが・・。
 でも、その大久保卿も、官邸に行く途中何者かに暗殺されるんでしたよね?? 
その時、大久保卿はどんな事を考えていたんでしょうね? この文を読んでたら、そんなことが気になってきました。
 長々と文章を書いてすいませんでした。
2005/08/25(木) 01:59 | URL | 香奈 #4pFpdVMo[ コメントの編集]
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村瀬執筆 時代小説
プロフィール

村瀬彰吾

  • Author:村瀬彰吾
  • 2004年大河ドラマ「新選組!」の決定以来、新選組特命主幹、日野市立新選組のふるさと歴史館館長を経て芸術文化担当として歴史に触れる毎日の生活を送っている村瀬彰吾のブログへようこそ!
    日野市在住。2006年に小説「人間 土方歳三」を出版しました。小説の詳しい情報や通販はH Pに。
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